ご挨拶
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みなさんこんにちは
2022年1月北海道大学病院乳癌外科教授として着任しました。前任地の北海道がんセンターは道内有数の乳がん診療実績があり、そこで約12年間乳腺外科部門を主宰し診療をおこなってきました。

私は乳腺外科医として、若手の時期は臨床スキルを着実に身につけることを目標に、安全で確実かつ整容性をできるだけ保つ乳腺外科治療を心がけてきました。北海道がんセンターでは研究的なアプローチとして、外科治療、薬物療法などの新規治療開発を、臨床試験を基本とし実践してまいりました。またOncoplasticアプローチや遺伝性乳がんに対するリスク低減手術など、先進的な診療も積極的に導入してまいりました。一方、乳がん診療は患者さんそれぞれの状況に応じた対応が必要であり、QoLを重視した治療方針も大事な軸として位置づけていました。

医育機関である北海道大学病院乳腺外科では、若手乳腺専攻医を手厚く育成してまいりたいと思います。患者および家族とのコミュニケーションはとても大切であり、医療人としての心構えを確立してもらいます。またエビデンスに基づき私が今まで実行してきた臨床試験・治験の経験などを伝え、プロフェッショナルとして活躍できる人材になってもらうのが私の希望です。ただし医師個々人の多様性も理解し、出産・育児などの状況を配慮しながら、一緒に彼らの成長をサポートしていくことを、北海道大学病院乳腺外科の育成方法の中心に据えたいとも思っています。

北海道は全国に比較すると年齢調整乳がん死亡率は残念ながら高いのが現状です。様々な要因が影響している可能性がありますが、その一つとしてがん拠点病院に乳腺専門医が少なく、進行症例や転移再発症例に対する標準療法がなかなか実践できない現状が挙げられると思います。北海道大学病院乳腺外科出身の乳腺専門医が、将来北海道の乳腺診療の中核として活躍し、北海道内の乳がん死亡率を減少する一助になってくれれば大変うれしいです。

現状若手育成には時間がかかります。すぐに実践すべき事として地域やクリニック等で乳腺診療を実践されている先生がたとしっかりと連携し、最新情報を共有し、また治療困難症例などの相談にも応じていきたいと考えています。道内乳腺医療を均てん化することで、不利益となる患者を少しでも減らすことが私の目標です。

北海道大学病院乳腺外科 ReStartです。


北海道大学病院 乳腺外科
北海道大学医学院外科学講座 乳腺外科学教室
教授
高橋將人
教授写真

北海道大学病院乳腺外科今後の指針

短期目標(1〜2年)

  • 信頼される安全な乳腺医療体制の構築
  • 北海道大学病院で年間100例以上の乳癌手術の実践
  • 乳腺外科専攻医の育成

中期目標(5年)

  • 乳腺外科専攻医の拡充と専門医および医学博士の育成
  • 3大学+がんセンターの連携と人材育成を含めた道内均てん化
  • 子育てや研究などそれぞれの希望を支援する環境整備
  • 北海道大学病院で年間200例の乳癌手術数達成
  • 北海道大学病院化学療法部・臨床遺伝子診療部、がん遺伝子診断部への積極的貢献
  • 臨床試験、治験の積極的な実施

長期目標(その後)

  • 北大乳腺外科教室の医療界・一般市民からの理解
  • オール北海道乳腺診療ネットワーク(予防・検診)
  • 北大乳腺外科で育った乳腺専門医が北海道の乳腺診療の中核を担うようになる
  • 北海道の乳がん死亡率が全国並みに落ち着く
  • 次なる世代の後継者を育成